放射線被ばくとがん

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更新日:2024年5月1日

人の細胞の複数の特定の遺伝子の突然変異が積み重なっていくと、がんが発生します。
したがって、がんの最大のリスクは「加齢(年をとること)」です。
がんの中には、進行が遅かったり、消えてしまったり、生命にかかわらないがんもあります。
しかし、あるがんについて、治療するグループと治療しないグループに分けて経過をみる研究はできません。
したがって、現在の科学では、どのようながんが進行がんとなって生命予後に影響を及ぼすか、よくわかっていません。
現代の医学では、がん細胞が30回以上分裂しておよそ1億個(およそ直径1センチメートル)に増えないと、がんと診断できません。
そして、毎日、数千個(人の全体のおよそ100億分の1)のがん細胞が、発生していると考えられています。
しかし、なかなか診断できるがんにならないのは、 がん細胞自体が死滅したり、人の免疫機構ががんの細胞分裂を抑えたりしているからとされています。
がんは、人体内の生物学的反応であり、がんと診断されるまでには、1人ひとりの日常生活の積み重ねが大きくかかわっています。

参考

放射線は、直接遺伝子を傷つけるだけでなく、細胞の80パーセントを占める水分子に当たってできた活性酸素を介して、間接的にも遺伝子を傷つけます。
しかし、活性酸素は、私たちの通常の酸素呼吸でも発生します。
現在の科学では、実際の遺伝子の突然変異の原因を、放射線か呼吸か、それともそれ以外か、区別することはできません。
放射線は特別に危険な発がん物質ではなく、世の中に膨大にある発がん物質の1つにすぎません。
放射線被ばくによってがんで死亡する確率(リスク)とは、「誰に被害が出るかわからない」「被害が出るかどうかは、くじ引きと同様に運まかせ」ではありません。
放射線によるがんも、放射線以外の原因によるがんも、遺伝子の突然変異というがん化のしくみは同じと考えられています。
したがって、放射線以外の原因によるがんの予防方法

  1. タバコは吸わない
  2. 節度のある飲酒をする
  3. 食事は偏らずバランスよくとる
  4. 日常生活を活動的にする
  5. 適正な体型を保つ
  6. 肝炎ウイルスに感染している場合は専門医に相談する

は、放射線によるがんの予防にも有効といえます。

参考

急性被ばく

現在、一生涯のいつかに、がんで死亡するリスクは、10歳男子で30パーセント、50歳男性で20パーセントです。
10歳男子が、1度に全身に実効線量100ミリシーベルト放射線被ばくすると、がん死亡生涯リスクはおよそ2パーセント増え、32パーセントになります。
50歳男性が、1度に全身に実効線量100ミリシーベルト放射線被ばくすると、がん死亡生涯リスクは0.3パーセント増え、20.3パーセントになります。

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慢性被ばく

大人も子供も含めた集団が、累積実効線量で100ミリシーベルト(自然放射線被ばくでおよそ50年)被ばくすると、がん死亡リスクが0.5パーセント増加します。
このリスクには自然放射線被ばくが含まれるため、自然放射線以外の被ばくをしていない50歳男性は、放射線によるがん死亡リスクが0.5パーセント、放射線以外の原因による死亡リスクが19.5パーセントになります。

参考

いろいろながん死亡リスクを放射線被ばくと比べた場合、

  • 喫煙や毎日3合以上の飲酒は2000ミリシーベルト
  • 肥満や塩分の取りすぎは200ミリシーベルト以上
  • 野菜不足は150ミリシーベルト

の被ばくに相当するとされています。
しかし、肥満や塩分は少ないほどよいというわけではありません。
やせは感染症や脳出血のリスクが高くなり、塩分が少なすぎれば代謝障害を起こします。
がんを予防するには、少量の放射線被ばくを怖がるよりも、生活習慣を管理して、がん検診を受診するほうが大切です。

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このページは健康福祉部 保健予防課(中野区保健所)が担当しています。

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